2005年07月01日

『神話の力』

『神話の力』(早川書房)を読み終えた。
神話学者のジョゼフ・キャンベルと、ジャーナリストのビル・モイヤーズの対談集だ。
線を引いた箇所、ページを折った箇所からいくつか抜き書きしてみる。

モイヤーズ  なぜ神話は夢と違うのでしょう。
キャンベル  ああ、それはね、夢は私たちの生活を支えている、あの深くて暗い基礎についての個人的な経験であるのに対して、神話は社会の夢だからです。神話は公衆の夢であり、夢は個人の神話です。
(p90)

キャンベル  神話は生かされるべきです。それを生かすことのできる人は、なんらかの種類の芸術家です。芸術家の役割は環境と世界との神話化です。
モイヤーズ  芸術家は現代の神話作家だとおっしゃる?
キャンベル  昔の神話作家は現代の芸術家に当たるわけです。
(p161)

キャンベル  今朝の新聞になにが載っていたか、友達はだれだれなのか、だれに借りがあり、だれに貸しがあるのか、そんなことを一切忘れるような部屋、ないし一日のうちのひとときがなくてはなりません。本来の自分、自分の将来の姿を純粋に経験し、引き出すことのできる場所です。これは創造的な孵化場です。はじめは何も起こりそうにないかもしれません。しかし、もしあなたが自分の聖なる場所を持っていて、それを使うなら、いつか何かが起こるでしょう。
(p173)

モイヤーズ  でも、神話は絵空事じゃないのか、という人がいますね。
キャンベル  いや、神話は絵空事ではありません。神話は詩です、隠喩ですよ。
(p292)

神話と夢と芸術と詩。
神話の力とは、隠喩の力なのだろうなと思った。

神話について、数年前から持続的に興味を持っている。
時々で温度の強弱はあるけれど、興味を失うということはない。
神話について考えることは、宗教、哲学、人類学、文学、芸術について考えることでもある。
そして自分の生き方について考えることでもある。
うまく言えないが、大切だと感じている。

神話がよく扱うテーマ
・全ての生命は他の生命を奪ってしか生きられない、ということ。(食べること)
・「子供」から「自立した個人」、「社会人」になるということ。(成長、社会、大人について)
・「私」は個として存在するのか、大地の一部なのか。(生死、存在、不安について)
等々。

神話は、間違いなく「本当に大切なこと」を扱っている。
だから、神話について学ぶことは、「本当に大切なこと」の所在について学ぶことでもある。
思考停止をしないこと、忙しさにかまかけないこと、目を曇らせないことでもある。
そして人生を「本当の意味で生きる」という「冒険」にすることでもある。

投稿者 tsuyoshi : 2005年07月01日 03:44

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