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2005年09月04日
奥多摩 大雲取谷
昨日の早朝アパートを出て、電車とバスを乗り継ぎ、昼頃から歩き始めた時は、なんでまた休みの日だっていうのにこんな重い荷物を背負って歩かねばならないのかと、かなり頭に来ていた。それなのに一泊して谷を遡行しアパートに戻ってくると、すぐ資料を広げ、次にどこに行こうかあれこれ頭を悩ませている。
奥多摩、大雲取谷を遡行し、谷の真ん中で焚き火をし一泊し、翌日谷を詰め、登山道を歩き、雲取山に登ってきた。久しぶりの単独行。上出来すぎるできばえだった。
ハイライトは初日の、谷を遡行しはじめて二時間ぐらいの時。
いつ起こったのかは知らないが、山の斜面が大崩壊しており、谷が巨岩と土砂と倒木で埋め尽くされていた。苦労して登り、崩壊地帯を越すと、その先にはせき止められた沢の水が溜まり、大きな自然湖ができていた。谷が水没していたのだ。もちろん事前に調べた資料にはこんなこと全く書いてなかった。自然の、谷の、なんと変化の激しいことか。
今までも地図にあるはずの滝が土砂に埋まっていたりしたことはあったが、谷全体が土砂に埋まり、その先に湖が立ちはだかっていたのは初めてだ。
通過するには泳ぐしかない。ザックを浮き輪代わりにして、覚悟を決め泳ぐ。水は冷たく、驚くほど透明だった。しかし底は深く、真っ暗でなにも見えなかった。100mぐらい泳いでやっと通過した。湖に住む竜のような神様が出てきそうで、正直怖かった。
夜は絶好のビバークサイトを見つけ、テントを張り、嬉々として焚き火をおこす。焚き火はいつだって美しい。森の中なので、日が落ちたら真っ暗になった。久しぶりの単独行で、久しぶりの漆黒の野宿だった。
夜中にテントを離れたとき、真っ暗闇のなかに、ロウソクの光に照らされたテントだけが浮かび上がり、あとはモノノケの匂いがぷんぷんしていた。闇は想像力をたくましくしすぎる。そうだった、闇とはこういうものだったと、怖くも感じ、懐かしくも感じた。
大雲取谷は原生林の中を流れる、苔の美しい谷だった。
美しい小滝を丁寧に越えていき、源流部で登山道に合流し、雲取山に登り、鴨沢へ下山した。天気が良かったお陰で、登山道を歩くのも実に気持ちがよかった。
遡行中、次々と現れる小滝を越えながら、沢登りの面白さの一つは、この「自由さ」だと思っていた。
沢には登山道のような道がない。だから次々と変化する渓相に、知恵を振り絞って対処する。沢は管理されていないので、不確定要素がおおく、危険もある。でも、経験を積めばなんとかなる。なんとかしてしまえるような知恵と自信がつく。
僕にとって「自由」とは、リスクを受け入れ、自分自身をたのみにし、知恵を振り絞り、困難を克服するということだ。自立なき自由は、単なる我がままだろう。
「自由」の反対は「管理」だろう。
そして、いまぼくたちが住んでいる社会はどんどん管理社会になっている。たぶん9.11以後に急速に管理社会化が進んだ。そうすることで「安心」を得ている。不安を煽られ、ヒステリックなほど「安心」を求め、進んで管理されたがる社会だ。なにか、びくびくばかりして、いのちが小さく萎縮してしまうような社会だ。
そんな社会が窮屈だから沢登りに行くのだというのは、たぶん一つの理由なのだろう。
沢登りには「自由」がある。沢にはまだ人間の管理は行き届いていない。それはあの大崩壊とその後ろの湖が物語っている。
沢登りは、管理されることから自由になることで垣間見える、世界の豊穣さを知らせてくれる。闇の深さや、火のゆらめきや、滝や釜の水の色を通して知る、いのちが本来持っている、どこまでも奥深い豊穣さだ。そしてそれは「自由」でなければ知ることのできない豊穣さだ。
僕の沢の技術レベルは、まだ中の下ぐらいだ。
だから、まだ沢を自由自在に歩けるわけではない。
でも、これからたくさん経験を積み、何年か後にはどこへでも行けるようになりたい。
経験を積むことでより自由になる。それが僕にとっての「自由」だ。
経験は決して「自由」を妨げない。
経験は、「自由」になるための道具だ。
投稿者 tsuyoshi : 2005年09月04日 01:46
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コメント
無事に帰ってきたみたい。
おかえりー。
湖を泳ぐのこわかったでしょ。
あんまり無茶しないでね。
登っている間はずっと「自由」について考えてたみたいだね。
いい文章でした。
投稿者 REIKO : 2005年09月04日 21:12
いいなー。焚き火。キャンプでも、家の落ち葉燃やしてても、
火を見ていると落ち着くんだよね。。そこに焼き芋でもあれば
最高。。。。。って思うのは私だけ。(笑)
投稿者 すわん : 2005年09月05日 13:11
沢で出会う「水」のかたちはとても魅力的です。
わたしの場合、経験がかえって「自由」に対してしり込みさせてる気がしますが。
写真にあるような目線にあこがれますね。
投稿者 すぴ : 2005年09月06日 08:14
みなさまこんばんは。
コメントありがとうございます。
今週は、日帰りと一泊、二度も沢に行く予定です。今度は単独ではなく沢友達と。まだしばらくは沢のシーズンなので、これからはよりスケールの大きな沢にどんどん行く予定。好きなことだからどれだけ疲れてもへっちゃらです。また報告します。
投稿者 tsuyoshi : 2005年09月07日 01:12
