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2006年12月28日

昔はものを 思わざりけり

僕は本を読んだら、読んだ日にちと、題名、作者名、出版社名などをメモしているのだが、この「読んだ本リスト」を眺めていると、その時々で僕が何を考え、何に興味があったか、個人的な変遷がうかがえてとても興味深い。

それで、今年ももう残るところあとわずかなので、そのメモを見ながら、
今年読んだ本の中から、特にすばらしかったもの、強く影響を受けたものを選んでみました。(上から読んだ順番に並べています)

カイエ・ソバージュ』(第五巻 対称性人類学) 中沢新一
脳と創造性』 茂木健一郎
春になったら苺を摘みに』 梨木香歩
「これだけは、村上さんに言っておこう」』 村上春樹
ぐるりのこと』 梨木香歩
わたしを離さないで』 ガズオ・イシグロ
沼地のある森を抜けて』 梨木香歩
サバイバル登山家』 服部文祥
神の子どもたちはみな踊る』 村上春樹
バスジャック』 三崎亜記
ねじまき鳥クロニクル』  村上春樹
黄泉の犬』 藤原新也

どれも、ほんとうにすばらしい本。
そしてすごくいいタイミングで読んだ本ばかり。

でも、この中でさらに選ぶとしたら、
『カイエ・ソバージュ』
『沼地のある森を抜けて』
『ねじまき鳥クロニクル』
の三冊。この三冊を読んだ前後で自分の頭の中がぜんぜん違っている気がする。

最近茂木さんのブログで
「逢いみての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思わざりけり」
という短歌を知った。
百人一首にもなってる、権中納言敦忠という人の短歌だそうだ。
出会ったあと振り返って考えると、前はなんにも考えてなかったなあ
というような意味で、恋愛の歌だそうだ。

たしかに、素敵な異性に出会ったあとは世界観ががらっと変わってしまうけど、出会いは異性だけに限らない。素敵な異性と同じぐらい、本にも強い影響力があると思う。
つまり、これらの本は、かつての自分に対して「昔はものを 思わざりけり」と言いたくなるぐらいすばらしかったと言いたいのだ。

「出会い」には、いままでの世界観をがらっと変わってしまう力があるから、
ちょっとしりごみしてしまうこともあるけれど、
「逢いみての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思わざりけり」
と言い聞かせれば、なんだか、もう一歩前へと進んでいけそうだ。

今年も、本に限らず、いくつかの出会いや出来事があり、
そしてそのことをいま振り返って考えると、
やはり「昔はものを おもわざりけり」と言いたくなる。

なにか、出会いや出来事にどこかで傷を受けたり、摩擦を感じたりしたあと、それが自然治癒のように回復したときに、すこしだけ新しい目で世界が見えるようになれる気がする。
そしてそういうときに、昔はものを思わなかったなあと思うのだろうな。

かつての自分を振り返り、あのころはなんにも見えてなかったなあと思えるのは、やはり嬉しいことだ。
茂木さんも言ってたけど、来年のいまごろにいまの自分をふりかえり、「昔はものを おもわざりけり」と言っているようでありたい。

でも、そうであるためには、日々変わり続けなければいけない。
さいきん聞いたアップルのスティーブ・ジョブズの講演日本語訳)の中で、彼は「Stay hungry,Stay foolish」と言っていた。すばらしい講演、すばらしいことば。僕もStay hungry,Stay foolishを、指標のようにして生きていきたい。
きっと、いくつになってもそういう態度で日々生きないと「昔はものを おもわざりけり」と本当には思えないのだろうな。

よいお年を。

投稿者 tsuyoshi : 2006年12月28日 20:24

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